DRF−SSM法   …言い換えるなら“装用閾値調整法”です   更新:'24/07/16

  *聞こえる範囲と言葉の特徴に着目した、独自調整理論(1980〜)
        『耳に補聴器を合わせる』調整ルールの具現化!

*補聴器に詳しい方と、補聴器をもっと知りたい方に向けたメッセージです


 「補聴器の音はすぐには馴染めない・ガンガン響く」と言われる通り、補聴器の音質への不満は実際にお使いの方に
しか判りません。それを何とか把握し、より適切な調整を短時間に済ませたいと考えたのが始まりです。調整手順と補
聴器特性設計のルール()を1980年頃完成し、改良を重ねて現在に至ります。この計算式は軽度難聴から重度難聴
まで対応できます。調整目安が単純な掛け算と加減算ですので目標設定が容易。具体的でとても解り易いです。一筋縄
では手に負えない、いわゆる“特異オージオグラム”にも十分対応可能な実績を多数出しています。


 聴覚医学会で提唱されている調整手順・方法よりはるかに厳密・精密で、調整不良や違和感を未然に防止できます。
ぜひ一度お試しくださって効果(欠点も)をお確かめいただければと願っております。細かな調整作業・配慮事項が沢山
ありますが、聞こえの範囲が狭くなった方へ歪みの小さな音声を届け、会話音の聞き取りやすい装用閾値(補聴器を
付けてやっと聞こえる大きさ)に調整することが基本
です。一つの調整法で全てのオージオグラムパターンに対応できる
うえ、一般の方にも説明・理解しやすい『結果の解り易さと手順』が最大の特長です。

 この考え方を論文にまとめて投稿しましたが、既存の調整法が普及している中で新たな方法を提案する大きな抵抗を
痛感しました。何度も「掲載不可」…多くの“共同研究者(補聴器の相談に訪れた方々)”の協力もいただいて客観的手
法も追加して文体を改めて投稿を繰り返しましたが認められませんでした。何度も助言くださった方々に心から感謝し
ながら投稿を諦めました。その後、図の配置を再構成して自分だけの論文としてまとめて保存してあります。

 論文として公認されていませんが、国内で有名な某補聴器外来の調整不良さえも多数発見しています。補聴器専門
店の調整不良に至っては無数と言いたいくらい。
再現性のある即効性(馴染みやすい)と調整精度を追求すれば、この
調整法に辿り着くしかないと確信しています。40年以上続けられるごく当然の理由です。初めて耳につけた設定から
聴力変動後の再調整まで、いつでも納得の笑顔が得られています。

 仮に海外での補聴器フィッティングを突然依頼されても、私は現地で『聴こえる感動』を作れます。グローバルな
活動で文字通り『本気の相談者(地球人!)』を感動させて、最高の感動を共有したいものです。
('21/02/17)

*ご注意!! ⇒ この調整法の唯一の欠点は、補聴器の基本性能が調整段階でわかってしまうことです(笑)。

 補聴器の『ボロ』が出やすいのです。思う通りできずに何度歯がゆい思いをしたことか…『性能を極限まで』等と
私も感動しながらお客様に説明できたときは本当に幸せな気分になれます。でも、納得の性能を持つ補聴器にはなか
なか出会えないものです。機会あるごとに関連の補聴器メーカーに執拗に提案し続けています。



 補聴器調整でお悩みの方にはぜひおおすすめ! 必ず喜ばれます。
 ⇒重度難聴(平均110dB)でも『普通の声(低音部)』は聞こえる!
 ⇒軽度難聴(平均50dB)なら『ささやき声』の会話も聴こえる

 *手順と効果は、こちらをクリック⇒ 具体的手順と効果


*公開します! 特性設計ルールと調整の要点 (2016.7.11公開)

  事前にオージオメータのスピーカ出力端子を利用した『聴力レベル』を測定できるように
 しておきます(“音場聴力測定”)。必ず750Hz,1.5kHzと3kHzも測定(重要)する。


 1 聴力レベル(dB)数値を次の記号で表す(目標装用閾値は、それぞれの前に“T”を付ける)
   A;250Hz B;500Hz C;750Hz D;1kHz E;1.5kHz F;2kHz G;3kHz H;4kHz

 2 『目標装用閾値』算出基準は500Hzの聴力レベル→→→→→→→→ TB

 3 500Hzの『目標装用閾値(TB)』の設定式は→→→→→→→→→→→ TB=0.3×B+20

 4 会話音声の特徴を考慮して周波数毎の『目標装用閾値』を算出する(日本語用です)

   TA=TB TC=TB-3 TD=TB-5 TE=TB-7 TF=TB-10=TG=TH

 5 それぞれの『挿入利得』を次のように算出後、そのデータをパソコンに入れて調整する。
 ※上限を大きく超える場合(重度難聴)、その高さの増幅を諦めて大幅に低くする→症例6
                     (上限の数値は補聴技研独自調査に基づく)

   ・250Hz ;A−TA(上限65dB) ←0またはマイナスになった場合は“オープンベント”
   ・500Hz ;B−TB(上限70dB) ←0になった場合は“オープンベント”(注*)
   ・750Hz ;C−TC(上限75dB) ←500Hzに準じる(装用して微調整)
   ・1kHz ;D−TD(上限80dB) *250,500Hzの挿入利得に応じ、ベントサイズを調整
   ・1.5kHz;E−TE(上限70dB) …オープン〜φ3〜φ1〜密閉(装用して微調整)
   ・2kHz ;F−TF(上限75dB)
   ・3kHz ;G−TG(上限55dB)
 ←通常の増幅上限を超えた場合、“高周波シフト”で
   ・4kHz ;H−TH(上限45dB) 『聞こえる調整』が可能(3kHz以上)なことがある(重要)

 6 最大出力音圧レベル設定目安(感音性難聴,BTE)『聴力レベル』×0.5+75(dBSPL,2cc)

  *この数値は事前設定用の出力調整目安で、通常の耳掛け型補聴器用。外耳道サイズや中耳
  機能などの影響で大きく変わるため微調整が必須。耳穴形ではもっと小さくなる


  → ITE,ITCでは最大出力をBTEより3-6dBほど小さくする。『装用して微調整』が必須!
  → この値はイヤモールドが変わっても変わり周波数ごとに十分調整()する!

 7 補聴器をつけた閾値(バンドノイズ)を測定、微調整を繰り返して目標装用閾値に近づける
       (同じ設定でも個々の耳ごとに異なるので、必ず周波数ごとにきめ細かく行う)
    *重要“高周波シフト”の調整効果はこの方法でのみ視覚化されて把握可能になる

  *『補聴器を実際につけた聞こえ』を測定するため、個々の耳に応じた高精度調整が可能
  (補聴器メーカー各社の音声処理・圧縮・ハウリング抑制機能がここで厳しく問われる)
    →出力制御を重要視する観点上、『リニア増幅』だけの調整はあり得ない

  *最重要! 大きな音が不快にならなくなるまで最大出力と圧縮増幅の調整を繰り返す
   両耳装用の場合は、左右差を可能な限りそろえる(何れも周波数ごとに行う)
    →8チャンネル以上の周波数帯で調整できるディジタル補聴器を原則採用(注;↓*)

  *特異なオージオグラムの場合には、最もよく聞こえる部分を装用閾値目標基準にして
   全体のバランスを決めて調整する…臨床経験の積み重ねが求められる → 症例23

  *適合限界があります…平均聴力レベルが110dBまでです。詳細 ⇒ 6;限界レベル


 *当時(1980年代)はこの考え方に相応しい補聴器が少なくて苦しみました。21世紀に入り、十分使える高性能ディジタル
 補聴器の登場でようやく目標に近い結果を引き出せるようになりました。長かった…実に30年近く待ちました。

  とは言え調整不良と粗悪なディジタル補聴器(*)販売は相変わらず…認定補聴器技能士制度が後支えしているような皮肉
 を感じるほど。「もっと良い聴こえにできないか?」と野心を抱く技能士はいません。直言すれば『低レベル』で留まって
 いるのです。傲慢な態度に驚いた方の声も聴いています。不十分な聞こえでも補聴器ユーザーは「認定店の技術だから」と
 諦めてしまうことも否定できません。さらに『2チャンネルディジタル補聴器』が多様な聞こえの方に適合するはずないの
 に、某メーカーのカタログに堂々と表示されていた…あきれる一方です。

  こんな粗悪補聴器は『装用した聞こえ』測定結果で即座にあぶり出されます。こんな補聴器も5万円程度では買えないの
 です。開いた口が塞がりません。そもそも補聴技研では補聴器の選定以前の段階ではじき、製品は絶対に仕入れません。
 昧で緩い調整基準がこんな『インチキ補聴器』でも売れる環境を作っているのです。
数年後にカタログから消えたのは当然。
 こんな粗悪品を買わされ「慣れて」と言われ続ける方々がお気の毒でなりません。

  補聴技研には、電池寿命の長さ・防水性・リモコン機能に惹かれて某社補聴器を両耳分仕入れてもその補聴器の『音色に
 合う』方が一向に現れず販売できない在庫品があります。本法の調整基準の厳格さを物語っているでしょう。


*最大の特徴は、“補聴器を付けた聞こえ”を測定・調整・測定を繰り返すこと

 補聴器をつけてぎりぎり聞こえる限界(閾値)と大きい音が何とか不快でなく聞こえる上限(不快レベル)を細かく測定する
ことが基本原則→125Hzと8kHzを除き、1.5kHzと3kHz、さらに750Hzを必ず測定、軽い難聴の方には最大6kHzの測定・調整
をしています。『耳本来の増幅』を尊重した、馴染みやすい音を作るために悩んだ結果、必然的にこうなりました。

 *『症例』ページと併せ、次の調整例でご理解いただければと思っています。価格と性能の関係で全て『チャネルフリー』
 になってしまいました。(これは『偶然』と思いたいです。調整不良例は、全て他施設で調整されたものです)
 *高い音まで聞こえる方向けに調整する場合、必ず『実質8チャンネル以上』を選びます。低価格器では納得ずくの調整が
 不可能で『高性能器』では期待外れが…。思い通りの調整(PC画面上)は何度も困難を極めます。メーカーの主張と所長の
 期待はいつも一致しません。(主に5〜6チャンネル器で対応してきた重度用も改良が進み、きめ細かな調整が可能に!)

  最近の補聴器は低価格でも細かい調整ができるようになっている一方、マユツバものにも遭遇して失望します。マルチ
 チャンネルの最高器種にまであります。基本的なレシーバ性能が劣化したのではと思いたくなるような器種にまで出逢い
 ます。これらの体験は本法でなければ味わえない深刻な問題なのです。ベテラン営業マンに説明を求めても当然答えられ
 ません。『聞こえに精密に合わせる調整行為』が軽視されている現状を、知っていて質問する所長がバカだった。

  低価格器でも本当の『8チャンネル』クラスの器種を増やして欲しい。静かな場所でちゃんと聞こえる補聴器を作って
 くれ〜〜。しっかり受信できる誘導コイルがついていれば十分!欲を言えば『MT』のあるのを…それがない…

   ●どんな凄い補聴器でもしっかり調整できなければ役立たないことを改めて認識して欲しい!!

   ●通販で売られている“デジタル補補聴器”も調整なしですから確実に役に立ちません。絶対にダメ!!

*ほぼ10年ぶりに改良した“補聴器自動選定プログラム”も、ディジタル補聴器の特性計算用に使えるようにしました。

*所長が来所者にお届けしてきた代表的な調整例を、以下の説明画面で紹介します。



 調整の考え方、図解 

 調整結果の説明図

 "SS Zone";言語音の範囲目安(話し手から1m)

 "Modified SS Zone"補聴器で『加工』された
           言語音の範囲(1m)
    *3kHzより高い音は増幅度いっぱいでも
    十分でなかったことも読み取れる。

 "U--U--U" ;大きすぎて不快に感じる音圧
       (不快閾値、左耳)
 XX水色XXこの補聴器愛用者の『音として
       聞こえる範囲、左耳』

 "X--X--X" ;やっと聞こえるぎりぎりの音圧
       (聴取閾値、左耳)

   左の図の説明

 Dynamic Range
    of Hearing
  →聞こえる範囲

 Speech Spectrum
      Matching
  →会話範囲に合わせる



 この図は全ての調整が済んだ後の、補聴器ユーザー
の耳に会話音や周囲の音が適切に鼓膜まで届く様子を
表示しています。

 調整には別な表示法を用いて補聴器をつけた聞こえ
を測定しながら行います。装用者の聞こえの範囲内
に補聴器から出る音を高精度に合わせる作業が『フィ
ッティング』の全てです。聞こえの左右差を合わせ易
くできる特長もあります。

 ここに表示した図は、外耳道内音圧を推定した表示
(※)になっていて、補聴器が『耳に合った音に変換している』様子を表現しています。
     (※調整時の表示法;結果1結果2 )

 初回の調整時間はかかりますが、音質調整等が非常に解りやすく、聴力に応じた適切な『きこえ』を1回
で提供できることもあるほど、再調整の回数を大幅に
減らせます。お客様の負担を大幅に軽減できます。

 言葉に含まれる様々な音(オレンジ色)が、3kHzまで
聞こえの閾値曲線(青破線)に平行になっていることに
お気付きいただければ幸いです。(左図、以下の図)




 調整不良;うるさい・不快…

   性能の低い補聴器と、知識不足による調整不良例 

 *音質・最大出力調整不良が明確に解る例
 →ご本人は「一向に馴染まない」とコメント

 1.5kHzの聞こえ難さの配慮がなく、単に大きくしてい
るだけで調整の意味なし
。最大出力も不快に感じる音圧
を超えています。これで「慣れて」とは…拷問?

 *日本ではこんな考えで作られる…補聴器も調整者も
 悪い! より望ましい調整を右に示しました。
      **その場ですぐに慣れましたよ!**

 *詳細説明→→あきれます。インチキXX

 *『業者』の調整技術→→Cさんの試聴器


 これならイイ!

  同じ聴力でも、すぐに快適にに聞こえるように調整できた例

   *音質・最大出力とも適切な調整例
  →試聴で「自然な聞こえにビックリ」

 補聴器を付けた調整後、すぐに慣れました。大きい
音に対してもやかましくありません。1.5kHzの聞こえ
難さをちゃんと考えて調整されています。

 オレンジ色の“SS-Zone”が聞こえの閾値曲線にほ
ぼ平行に『加工』されて
いることで推定できます。少
なくとも、聞き易いことだけは確かです。大きい音に
対する『防御』もしっかり行われています。

 平坦に増幅する(左)のでは『フィッティング』の意
味がありません。同価格で手に入れられるタイプなの
に…開いた口が塞がりませんでした。

 …これが『補聴器外来処方』の現実なのだろう。




 特異なオージオグラムにも適合

  特異な聴力パターンでもうまく調整できた例

 *3kHzの聞こえに『山』がある方にも快適な
 聞こえが作れた例


  安価なマルチチャンネル補聴器では決して作れない。
 だから調整不良例が多い。この方はワイヤレス応用機器
 も活用して、仕事・趣味活動に大活躍中。意外に安価に
 できました。4kHzの音はあまり聞こえないのが判ります。

   安くても調整可能な器種は探せば必ずあります!
  詳細は来所者に説明いたします。


 困難なオージオグラムにも適合

 高音が急に聞えなくなるパターンにうまく合わせた例

 *『高音急墜』の聞こえに合わせた例
 強力なハウリング抑制機能で可能に。


 「良く聞こえます」と喜ばれたが、摩擦音は聞こえ
ない。『大きい音』の不快感除去のために圧縮調整と
最大出力調整が徹底的に行われたのが見えるはず。

 これでも3kHzより高い音は聞こえないことをお知ら
せしています。調整では非常に苦労し「聞こえ不足」
に早くも不満が出ました…(2015.10.5)→詳細記事




 *国内初の新型器で『快聴』!!
   調整1回(初期調整のみ)で満足


   補聴器大好きアスリートの『音』

 補聴器大好きアスリートの喜び

 「走ると風切音や川の水の音、応援してくださる方々の
声が聞こえる」と感動。補聴器性能とDRF−SSM法の
コラボが作った『感動の聴こえ』。『つけて調整』のもた
らした幸福感は計り知れない。私も!

 これまでは同メーカーのXP121(5チャンネルBTE)で「凄
いんだよ、この補聴器」と感動していただいていたのです
が、それを大幅に上回ることができたのです。

 最初の補聴器調整データが十分活かされました。なお、
左耳は聴力が厳しくてSR3では適合できませんでした。
これは予想通り…もっとパワーを!…後に改善しました。
 *バーナフォンSR3の日本初登場・初勝利!
        ご本人の声は、ここに!(bernafon HP)


*10年以上待たされました…
  調整3回でやっと納得…7か月かかる


   10年待った補聴器の音

“補聴器ソムリエさん”の掴んだ幸福

 「今まで夢見ていたほぼすべてが叶えられた。
プリモ(※)
以来の感動」とコメント。高性能補聴器
とDRF−SSM法のコラボが作り上げた感動。

 2回で満足されたのですが、どうしても納得でき
ず、3回目の調整を実施。ようやく納得のコメント
を得られたのは、翌年の5月末…

 *総合支援を利用できた、国内初の幸せな聴こえ
  →症例4,7 (*これは左耳用の調整データ)

 *バーナフォンSR3の日本初両耳装用者!
  (※トップページ写真、当時の世界最優秀器)
  ⇒6年後、新型器試聴で一層満足!!('20/02)



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