補聴器創りの現状;奇跡なんてない制作;2021/02/08-12 更新;'2/03/17

  もしかしたら“奇跡”として処理される事例ばかりかもしれません。
 本当はごく当たり前。高精度適合調整が可能にしたのです。それには
 『つけて調整』するのが一番早い。そして『聞こえ』を可視化するの
 です。『つけた聞こえ』のデータがあれば補聴効果は丸見え。奇跡は
 「理由不明」による言い訳。正当な理由が必ずあるのですから!


  我々補聴器販売者は「慣れて」と話す前に『聴き易い状態』を把握
 して、それに限りなく近づける調整をするべきです。聴力測定から高
 精度が求められます。おろそかにしていませんか?
             *調整の考え方はこちら⇒“DRF-SSM”

 *こちらを『精査』して補聴器購入の参考資料にどうぞ…

  軽い難聴から順に重度まで揃えました。調整技術を十分精査して
 みてください。解説で欠かせない関連情報に古いデータを取り上げ
 ていますが、それは『不変の調整手順』だからです。

 事例1 ごく軽い『難聴?』(症例36)

  

 *赤い曲線が装用閾値(補聴器を付けた聞こえ)
 *下の曲線は左右の補聴器の必要挿入利得  
   *補聴器を作るきっかけ
*日常会話で聞き返しが頻発。調整困難承知の上で
補聴器を作る(これまでに2組)。
*様々な調整項目で予想通り苦労。最初の補聴器に
適合まで10回以上調整を繰り返している。
          (左の図は2組目の補聴器調整結果)

*効果・不具合点
 ・1日14時間以使用中、違和感なし。補聴器を外し
 たときの聴こえにくさを一層痛感するようになった。
 ・TV視聴の不便なし。騒音環境でも聴こえる
 ・様々な機能を備える器種だが必要性を感じない。
 ・この調整状態でも聞き返しが稀にある。
 ・最初の補聴器より 『燃費』が悪く、電池(312)が
 3日しか持たない。高価格(両耳\800,000)

*老朽化を機会に無駄な機能を省いた“IIC”に変更。
1/3の価格で同一電池寿命。聴こえがより自然に。


 事例2 会話音が聞き分けられず…コロナ禍でも来所 (症例37)

   

 *黒太線(※)が所持器(耳掛け型)の聞こえ
          …聞こえの『凹凸』が顕著

 *赤太線が補聴技研試聴器耳掛け型の聞こえ
 *緑太線が補聴技研耳穴型実器の聞こえ
  *補聴器購入のきっかけ
 ・有名補聴器外来で両耳分の補聴器を作る。片方を
 紛失して『邪魔にならない補聴器購入』を決意。
 ・補聴技研のホームページを半年前に発見していて
 頻繁な調整なしで作ってもらえると信じて来所。補聴
 技研から10km以内の方。だいぶ遠回りをしました。

*効果・不具合点
 ・所持器は過大音の不快感はないが不明瞭で騒音
 に弱く、自分の声が響いて会話音が聞こえ難い
 ・補聴技研の耳掛型試聴器で十分な効果を実感。
 同型電池が使えて邪魔にならない耳穴型補聴器
 入を決断。実器の適合調整1回で、過大音の不快
 や自声の籠りなく会話が楽に聞こえるようになる。
 ・両耳分価格(オプション込支払総額)は\259,100。
    *後に音量感増強目的で再調整を1回。

   ※所持器の選定と調整不良に呆れた…


 事例3 コロナ禍の中、思い切って来所(購入目的) (症例38)

   

 *青太線が所持器(IIC)の聞こえ

    某補聴器専門店で購入。スターキー社製
   超小型補聴器、“オトレンズ”。

 *赤太線が補聴技研試聴器の聞こえ 
   …よく聞こえて電池代が最低3年間タダ!
  *オリジナル耳せんで故障頻度が一層低い!
   試聴器を基に実器を調整し発送。来所を実現
  させた勇気と実行力に応えられました!
  *補聴器購入のきっかけ
 ・最新の超小型補聴器(当時)両耳分作ったが会話が
 聴こえにくい。ホームページを見て改善の可能性を
 知り、北海道から来所。ほぼ購入目的で。
  ・充電式耳掛型試聴器で大幅改善を実感、1ランク
 下の器種を購入予約。試聴器データを元に調整した
 実器を送る。この来所だけで補聴器づくり完了!
 ・納得の聞こえにできていた旨のメールあり。

*不具合点と新型器の効果
 ・所持器は過大音の不快感はないが750Hz近辺に
 聞こえすぎ、低音部の聞こえ不足の傾向あり。
 ・特定の騒音の影響を強く受けるうえ、自声が響き
 会話音が聞こえ難い悲惨な状態。(単価\470,000!)
 ・試聴器調整データで調整した充電式耳掛型補聴
 器は試聴時と変わらない快適な聞こえに作られて
 いる(メールで確認)。(両耳分\590,000)
 ・過大音の不快感、自声の籠りもなく会話が楽に
 聞き分けられていることは試聴で十分把握済み。
 ※所持器の調整不良に、再びあきれました。 


 事例4 コロナ禍をかいくぐって来所(再調整+購入目的)

 症例39

  


 *赤太線が最初の補聴器(CIC)を再調整して
  つけた聞こえ(装用閾値)

 *青太線が新型器(IIC)の聞こえの目標
  これが両耳分25万円で実現できた!!

   2回目のご購入のため、特典が沢山!!
   ⇒電池10パック、補聴器再調整送料無料
                       (2回分)
  *補聴器追加購入のきっかけ
 ・購入後5年近い超小型補聴器(両耳)が一部破損、
 修理と再調整・追加購入目的で京都から再来所
 ・コロナ感染拡大の兼ね合いで思うような日程が取り
 にくかった。感染状況の頃合をみて来所を断行。
 ・破損しながらも使えた補聴器を再調整。データを基
 に、さらに小型の“IIC”を『設計』。イヤモールド採型
 法に特別な工夫を開発して採型時の不快感低減を
 実現させている。
 ・左に示す目標値に合わせて調整した実器を発送。
 ・「ハウリングが少し出る」とのメールで返送を依頼、
 再調整して即発送。新たなメールを待つ。
 ・「新型器の聞こえは段違い」のメール。良かった!

*効果・不満点
 ・円滑な所持器の再調整・修理実現。新型器性能を
 最大限に発揮できた。(両耳分\250,000)
 ・最初に作った“CIC”と変わらない大きさに少し失望。
 ・2組の補聴器の快適な聞こえを僅か2回の来所で
 作れた。安さも含めて来所者・私ともに感動。

 ※来所者の勇気に感謝。お仕事頑張って!!



 事例5 重度難聴でも作れた『自然な話し方』だが…

  症例10

  

 *この女性は本当によい音を知っています
 …太い赤の曲線が試聴時ピンクの曲線が
 微調整後
の『きこえ』を示しています。


  彼女の好きな歌手の歌声を聴かせてもらって、
 その透明で鮮明な美声に感動を覚えました。

  私の全く知らない歌手で、こんなに凄い歌手が
 日本にいたんだと…美空ひばり、堀江美都子以外
 にも!(所長の好みで失礼)

  彼女の耳で審査したら、歌謡界の流れはきっと
 大きく変わってしまうでしょう。やりがい感を味わえ
 ました。良質な補聴器捜し・選びに一層努力し
 ます!

  彼女好みの補聴器は既に登場しており、購入の
 の連絡待ち。('21/02/10)
   ➡総合支援利用で『重度用BICROS』を製作。

 *聞こえの改善は音質にとどまらず、方向感
 にまで及び「正面から聞こえる!」
と、大変
 感動。『コンサート専用』で使うとか。想定通り!

 *上の図をクリックすると補聴技研の補聴器
 調整法を詳しくチェックできます。
  *『奇跡は誤解+悲劇の始まり』の理由…
 ・10年以上前の補聴器愛用者のデータから…
  彼女の発語は異常なほど自然で凄い。ごく普
 通の話し方ができる。名人の発音指導を受けた
 からではなく、小学時代から『自然な聞こえ』で
 育ってきただけ。私が当時補聴器を適合調整。
 ・10年後、彼女の発音は私以上に鮮明になり
 『イ』の発音が悔しいほど明瞭。私は栃木弁の
 影響で、どうしても『エ』になってしまう(笑)。
 ・自然で明瞭に話す同級生の多かったことを
 懐かしく思い出した半面、100周年記念で訪問
 して耳にした生徒の『頭声・聾声』には驚かさ
 れる
と共に「21世紀なのに…」とあきれた。
 ・彼女は通常声を出さない。一般に『ろう者』の
 扱いされてしまう彼女が自然な話し方をすれ
 ば『手話不要』と逆に差別され、完全には聴こ
 えていない説明で苦労するから…。勝手な想
 像だったが、「図星」だった


1歳前に補聴器装用開始した女児は、一層
 自然な話し方を既に幼児期から身につけた。
 後に補聴器の調子が気がかりで何度か新型
 器の案内を試みたが音沙汰なし。自然で明瞭
 な話し方が「重度難聴はウソだ」と誤解され、
 深刻な重荷となったのかと…また余計な想像
 …『凄すぎる奇跡は誤解のもと』か…悔しい。

*森喜郎氏の女性蔑視失言同様、難聴に関わ
る誤解から生じる差別も永久になくならないよう
だ。21世紀なのに…本当に悔しい!



 事例6 重度難聴用補聴器の適合限界… (症例40)

    

 *本当によい音を知っている女性

    所長が聾学校教員時代に2歳児から補聴
  器装用指導を受けて成長した女性。当時は当
  然ながら『両耳箱型』。

  ◎赤い太線が愛用器による聞こえ
    黒太線がそれまで所持していた重度用耳
   掛型補聴器による聞こえ…これでは話になら
  ない。当然不満を感じておられて来所(2015)。
  試聴いただくと…

   赤太線で示す聞こえをとても気に入ってご愛
  用。決して鮮明ではないが普通の会話音が十
  分聞こえる。この愛器が6年後に販売終了。最
  新型器を試聴したのはよかったが「弱い…」。
  ご本人も所長も困って別器種を模索中…


   別ブランドの高出力器で何とか満足して
いた
  だけたが、「音がぼやけている」と不満…悔しい。
   *補聴器適合上の主因は『パワー不足』


  特定の補聴器にこだわる方には明確な
 理由があります。そんな補聴器が製造中
 止になってしまえば途方に暮れる…

  カタログでは新型器が適合範囲に十分
 入っていて適合可能のはずですが。実際
 にはそんなに甘くない…弱すぎるのです。

  所長が30年以上前から熱望している耳
 掛型補聴器の“出力アップ”は21世紀に
 突入しても不十分。逆に低下傾向…
   …よく聞こえる補聴器がなくなった。
      「ダメなら人工内耳」ですか?


 *『重度』用補聴器を本気で開発する
 なら、重度難聴者をモニターに!


  左のオージオグラム下部にみられる
 太破線の折れ線は所長設定の補聴限界
 表示。彼女はまさに限界に挑戦している
 ことになるのです。“More power!”




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